ねんきぼうこう:ある一定の期間、無給で奉公をすること


芸人さんの「闇営業」の話題、なんとなく釈然としない気持ちで読んでいました。
反社会勢力を迎合したのはよくない、ってのは分かります。
そして「お金もろうてへん」ってウソ主張したのもアカンかった。
そこは理解しています、正論です。

ただ軽く首をひねるのは
「じゃあお金をもらわなかったらよかったの?」
ってコトなのです。
最初「お代は頂いてないからセーフ!」的発言が目立ちましたから。


私の友人の複数に音楽や美術を生業にしている人がいます。
中でも「声楽」を職業にしている友から、幾度となく嘆きを聞いてきました。

「サロンコンサートの話が来たんだけどね?
 それがさぁ・・・」

モチロンこの仕事は「反社会勢力から」ではないです。
どちらかというと公共に近いような場所からのアポイントで。
けれども。

「15分くらいちょこっと歌ってくれないか、って話だったんだけれども」

この「ちょこっと」が曲者だったわけです。
つまり、「歌う」なんてことは、その人が来るだけでできちゃうわけだから、カンタンにできるよね、無料でやってよ、という・・・

 はぁ?!

です。

彼女は、大きなオペラのオーディションを勝ち抜いてプリマの席を得て、
その看板を背負ってコンサートも開いてきた人。
そんな「プロフェッショナル」の「芸事」を
「カンタンにできる」って云う、その口をつねってやりたいっ(怒)

どれだけレッスンを積み、喉や体の調整に気を使って生活をしているのか。
もっと言うなら衣装代だって、伴奏者の手配だってお金かかるんだよ?
当たり前だけれど、その時間、彼女は拘束されるんでしょ?
場所に行く交通費だってタダじゃない。

場数踏んで舞台度胸をつけたい音大の学生さんなんかにはとても良いお話しと思う。
しかしそれだって、できれば弁当代・交通費くらいは出してあげて欲しいわ。
だって、そちらはそれで「集客」するのでしょう?
対価あって当たり前だと思うのです。

(無給医のニュースも胸が痛いです・・・これこそ「年期奉公」な話ですが
 でも方向が違うので今回はこちらには触れないでおく)


さて、話を戻します。
今回の芸人さんの件、
「闇営業」と言っている「闇」は一体何を指しているのでしょう?

音楽家も芸人さんも、自分の芸を売るのが仕事。
声楽家の彼女も●●●協会みたいなところには所属しているけれど、
個人でコンサートも開くし、学校の非常勤講師もするし、
自宅で個別レッスンもする、それで生活をしています。
そしてもちろん●●●協会主催のコンサートにも出ますけれども。

ただし、●●●協会と専属契約ではなく「月給」も存在しません。
●●●協会主催の会があるとき、声をかけてもらい、
ほんの僅かなお代を頂く、そういう関係です。
個人事業主の集合体として●●●協会がある、そんな印象でいます。

折しも政治は「副業を許可する」方向で動いていたハズ。
たとえば、ITの知識のある人が、雇用されている会社とは別の会社で
副業としてIT系のアドバイザーをするのはありだと聞いています。

正式な雇用関係を結ぶ「企業」でさえもそんなスタンスに変わりつつある世の中。
とすれば「エージェントを通さない仕事」なんて普通にあってよいのことなのでは。
通さない方が安くつくよ、はい、わかりますよ、マージンないものね。

ただし、●●●協会を通さないのだから、
自分で選択したことに自分がすべて責任を持たなくてはならない。
会社を通さずに話をした相手側だとて、出演者が何かミスをしても、
規模の大きなエージェントに保証はしてもらえない、というリスクを背負うのが普通。
それは自営業なら当たり前のことで、契約先の相手が誰なのかの判断をミスし、責められるのは分かります。
芸事を自分の資産だと思うなら、知り合いだから安請け合い、ということはNGであると理解していなくてはならないってコトです。
そして、そんなミスをしたヤツ、庇いきれないから契約解除ね、という
エージェントの立場もわかります。

でも「お金もらってないボランティアだったから」
反社会勢力の会に出たことは(相手が誰かと知らなかったのだから)OK、は
違っていると思えてならないのです。

むしろエージェント側は、お金貰わずに「芸事売る」方にペナルティ課すべきだと思いません?
だって自分ちの「看板商品」をタダ売りされたら市場の商品価値が下がるじゃない?


なんていうのかな、日本って、
「具体的な形のないモノ」に対して、価値(=お金?)や敬意を払う、っていう
そういう文化は根付いていないような印象を受けました。

文系の学科は不要だから大学から駆逐しちゃえ、なんて方針が出てるのも
文化への認知が低いから?
理系学科だけで人間力が高まるかというと、そうじゃない気がするのですが。
あ、話がちょっとばかり極論です(苦笑)



コメント

マダムM
2019年7月4日21:12

以前同窓会の準備会で出た話です。我が同窓会の会員の方(かなり先輩)が某芸能プロダクションの社長夫人である事が判明、すると一人の会員が所属タレントを呼んで貰ったら、と言い出しました。『ただで!』と。それはダメでしょう!もし同窓会から出演料を払わない場合、社長夫人が何らかの負担をするわけですよね、そのタレントに対して。
たとえ知り合いの口利きであっても、相応の報酬を払うべきで、『ただ』は素人の場合のことだと思います。
闇営業という言葉が悪いのであって、相手が一般人というのが普通だと思います。結婚式とかパーティーなどで出演料という税金がかかるものでなく、謝礼とかお車代という名目で現金で貰っているのではないでしょうか。それまで罰することはないと思います。
思い出した事があります。小学校のイベントである童話作家さんに講演を頼もう、という話が出た時、作家さんの方から協会を通してのお話だったら10万円だと。結局お願いする事は無かったのですが、もし個人的に受けて下さったら、「闇営業」ってことになるんですよね、今の基準で言えば!
世間の基準から言っても低い報酬で、所謂「闇営業」を黙認していた会社が一番罪が深いのではないでしょうか。また、芸人仲間特有の人間関係もあるのでしょう。
今の我が国、黒か白に分けたがりますが、グレーも認めないと息苦しく生き難い世の中になってしまうと憂いています(上から目線)

ねこって
2019年7月6日15:40

最近PC前に座る時間が短くなっていて、即座のお返事できずですみません。

そうなんですよねー「闇」なんていわれると、ダークサイドな感じで、
なんか悪いことしているみたいに感じちゃう、ある種印象の操作ですよね。
私はどちらかというと「黙認」よりも、「契約が明確でない」ことに関してこの会社アカンという意見でいます。
というのは、事の可否は個人と所属会社との契約で決まると考えているからなんです。

マダムさまの例示なさった個人の作家さんに直接講演をお願いする件でいえば、
「講演会などの活動は必ず協会を通すこと」な契約を結んでいないならば、縛られる義務はなくて、個人で講演会をしたってよいのでは。違うのかしら・・・?
ただし、作家さんが請け負ったときの収入を「雑所得」で確定申告をしないと「脱税」にはなっちゃう。協会を挟むと恐らく経理処理はしてもらえますから、あまり考えなくてよいのでしょうけれども。

弁護士さんだって弁護士協会あって、そこから国選弁護なんかの仕事は来るのでしょうが、個人事務所でも仕事を請け負いますもんね?
あれ?この場合は個人事務所が法人格だから違ってくるのかしらん?

芸人仲間特有の人間関係、そうなんですよ、『この方にはお世話になったから、力貸します』これって全くもって問題ない話なんですよねぇ。むしろ美談?
ただし、お世話になった人=闇サイドの人、の場合、協力すること自体がダメな話で。
そのNGな相手をそうと知りつつ仲介して、仲介者を信用した当事者を陥れた仲介者が本来は一番悪い、、、となれば、ある意味当事者も被害者にも思えて、
私にとっては、うまく消化しきれない話題です。

なんというか、ややこしいというか、世知辛いですよねぇ。
(安直に)人を信じるな。
ってことに繋がってますもんねぇ・・・。

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