じじょうじばく 自分でこうであると決めつけて動きがとれなくなること


この2年間は大転換な月日で、変化を嫌う私が
一世一代な気分の思い切ったこと=転居をやり切ったわけですが。

出て行く前に同居していた夫の親とはそれなりに付き合いが続いています。
それは多分、義父の度量の大きさによるもの。
どう考えても一般的には私が相当な不義理を働いたのだから、
「もう顔も見たくない」と言われたっておかしくないのに
普通に対応してくださるので。
月に1度2度は顔を見に行きます。

でもね・・・
この間言われた言葉に動揺しちゃいました。
つまり、

「孫たちのいずれかがこの家に戻ってきて、
 農業しないでもいいから田畑と家屋敷を継いでほしいと思っている」

気持ちは、分かりますけれども。
若い頃から苦労をして丹精した土地を、このまま手放したくない、
生まれたときから傍にいた「内孫」が継いでくれたら、というその気持ち。

ただ・・・正直言うと、
ダンナが早世してしまったのは、この土地に住んでいたから、
とどこかで思っています、私。

義父母は悪い人ではない。
ただ、この土地からいままで一度も出たことがない人たちだから。
ここと別の土地と両方を使って生活をする、その苦労を肌で感じたことはない。

JRの駅まで20分、そこから電車に40分揺られれば都心部に出られる。
恐らく近隣の「ベッドタウン」と立地条件は変わらない。
となれば、そこを住居とするのもありなんじゃない?と考えてもよいのかもしれない。
義父の頭にもそれがあって、
「だって息子(=ダンナ)だってそれをやっていたじゃないか」
と、だから孫もここに住んだって生活成立できると考えているのだと思う。

ご近所づきあいだって少しは楽になっているだろう。
頭が固くて、わけわからんことをいう老害めいた方が引退しちゃったから(苦笑)

でもねー、違うんだなぁ。
いわゆる住宅地で過ごすことに比べて、細かな苦労のなんと多いことか。
そして「住民」がやらなくてはならないことが減っているとは思えない。

道端の雑草刈り、自治会内にある寺社の維持管理、
自治に関わる行政とのやりとり、自治消防、農業施策。
これらをすべて住民の力で賄う。
そして、それを支える自治会員の恐ろしいほどの高齢化。


長男だから、〇〇しなくてはならない、
跡継ぎだから、〇〇しなくてはならない

そんな思いでがんじがらめになって、
遠距離の通勤をがんばって、オーバーペースで仕事をして、体を壊して。
それでも、そんな状態でも、
▲▲は順番だから、他に人がいないから、引き受けてやってもらわないと、
なんて容赦なく言われて、やらされて。
会社員・農家の跡取り・自治会役員・消防団員・・・e.t.c...
どれだけワラジを履いているの?といった有様で。
やるといったからにはそれなりに頑張って。
嫁の言葉より、体の悲鳴より、家の体裁だとか責任感を優先した。
自分で、自分を縛り付けた。

で、挙句・・・だったダンナ。


そんな呪縛が満ち満ちていそうなところに、子どもを放り込みたいだなんて誰が思う?
私は、イヤだ。

あの土地を離れたかった理由はたくさんあったけれど、
そういう「しなくてはならない」縛りから子どもを守りたい、
そんな気持ちだって、理由の一つだった。

農地を、ムリなく自分が耕作したり、誰かに貸すことがあるのなら、よい。
それがなく、荒れさせてしまったら、
あっという間に田んぼとしては機能しなくなる。

今の現状で、これを小作する人はいる?
そりゃ、酒米も作れるような素晴らしい土ではあるけれど。
企業が農業に進出して、土地を欲することでもなければ
きっと続かないと思う、だって労働力がないのだもの。

それでも田んぼに対する愛着は、どこのお宅にも深く残る。
荒れさせたくなければ自分で耕すしかない。
むしろ、「お前若いのだから、うちの田んぼもやらないか?」なんて
近隣の他の田畑を押し付けられてしまうという状況になるほうが
ずっと可能性が高いのではないかしら。

使い道のない山、独り土日に耕すには広すぎる田んぼ。
これらを相続したって、延々と固定資産税を搾り取られるだけ。


「まぁ、まだ10代の学生ですから。
 進路は自分自身が判断できるようになってから
 彼ら当人に決めさせますね」

なんて言葉を濁した。


逆なのよ、きっと。
土や、土地の広さを活かした仕事や趣味を自らするのではないのなら
田舎なんかに住むべきではない。



コメント

マダムM
2019年3月3日14:39

跡継ぎ問題はねぇ、難しい問題ですよね。
ねこってさんのお宅の場合、もし息子さんが自発的に跡を継ぐのでなければ、強制はできませんし、したくないですよね。
私の夫は実母が離婚したので母方の祖父の養子にされてます。家を継ぐために。継ぐ、といっても土地と家だけなんですがね(今我々が住んで家)。家業云々は無しです。友人の所も家と土地だけ長男のご主人が貰い、あとの財産はみ~んな兄弟姉妹が持って行ったそうです。
未だに「長男(その家系)=跡継ぎ」という考えは父親に強く残っているようですね。
姑息な手としては、息子さんたちが県外の学校に進学し、その地で就職してしまう→それを母として嘆いてみせる・・・

露骨に断れないところが辛いところですよねぇ。

まるこ
2019年3月3日16:46

どこのお宅でも跡継ぎ問題は難しいですよね。
我が家は夫方も私方も長男重視ですから、全く蚊帳の外です。
実際ねこってさんのお立場にならないと分からない事も、そして住む地域や昔からの風習や慣例についても頑なである事が多い事も、親の願望みたいなものも、時としてそれが手枷足枷になる場合がありますよね。父は兼業農家の次男でした。祖父は会社に勤めながら農繁期に農家をしていました、いわゆる「さんちゃん農家」父の兄が親からの財産を相続しましたが、叔父は競輪選手の道を選びましたのでその状態が引退するまで続きました。養蚕までしていたので、農繁期や養蚕の大変な時は親戚総出で手伝いを。子供だった私なども簡単な作業を手伝ってきました。その叔父も亡くなり、残った田畑は息子が相続という形になりました。その息子たちもそれぞれの仕事に就き、今は叔母が少しの野菜を作っているだけです。先日叔母から母へ電話がありまして、今の田畑も処分したいが売れないとこぼしていたようです。もし叔母が亡くなれば息子達は二足三文でも土地を手放す事でしょう。遊んでいる土地の税金も馬鹿にならないからです。このような小さな兼業農家でさえも田畑の問題跡継ぎの問題は叔母や息子達にとっては問題のようです。我が家とて母がホームに入居した後の実家の処分をどうしようかと頭を痛めている所です。母がもう処分してと言うまでは今のままで置くのか?とか。毎年の固定資産税、毎月の電気、ガス、水道料金、使わない電話の固定料金。この支払いは馬鹿にならないんですよ。いっそ、売り払ってしまって母の退路を断つ事も視野に入れないといけないのか?とか。いづれにしても母の思い入れに強い実家の処分。それ1つとっても大変ですから、ねこってさんのご主人様のご実家の様な場合は私などが想像するより、もっともっと大変なのだろうとご推察されます。息子さん達がいかなるものにも縛られる事なく、それぞれの思う道を歩まれます様にと願うばかりです。ダラダラと自分のことばかり言ってしまってすみません。

ねこって
2019年3月4日11:45

マダムMさま

ええ、子どもたちの意志が一番大事です。だって覚悟も苦労もするのは彼らですから。しかも一生ついて回るということは言い含めます。10代にはまだそういう金銭の認識はあまりないですから、キチンと社会の仕組みについて学習させておくことが大事だなと考えています。

義父には遠まわしに「義弟に譲れば?」と云ったのですが、問題は義弟のところの子どもが女子ばかりだということらしい。
わからないのにね、農業や田舎好きなダンナ様と結ばれることだってないとはいえないし。(だって最近の田舎って「田舎好き女子」とそのご主人が定住、というのが多いように感じています。このパターンは田舎男子が嫁とりをするよりずっと定着率が高いですし)

稼業、家、土地、そして。

義父がいいたいのは要するに、

 稼業はどうでもええ、でも墓を守ってくれ、

なのだと理解しています。
息子、県外への進学は難しそうなので、あとは就職で逃げる、ですかね(苦笑)



まるこさま

なるほど、まるこさんのお父様のご実家もなかなか・・・な状況ですね。
田舎の安い土地とはいえ、毎年のように税金を取られるだけなのであれば、二束三文でも手放した方がペイするという考え方はよくわかります。
田んぼは農業地域に指定されているので、売買する先が農作する相手に限られてしまう。JAも探してくれるのでしょうが、高齢化で受け入れられる余力のある農家がない現状。よって買い手を見つけるのが難しい。

まるこさんお父様ご実家でもマダムMさま夫サマのご実家でも、いずこでも土地を持っているご家庭が苦慮しながら受け継いでおられるということがお話しを聞くとわかります。
うちのダンナはそういう流れを打破する目的も含め、農業法人を立ち上げればなんとかならないかと道を探っている半ばで亡くなりました。個人の力でこれに取り組むのは文字通り命がけだったということです。そういう施策は行政も深く関与して欲しいトコロなのに、本当に・・・。

ご実家の処分の件は、私はまだ実体験していないので。皆さまどうなさっておられるのでしょうね?
まるこさんのお母さまはまだ若くていらっしゃるし、お父様を失くされて日が経っておられないから、なかなか思い出を手放す決心をつけるのは難しいかもしれません。
でも維持管理費はバカにならないのはよくわかります。私ならできるだけ処分する方向にもっていきたいと思います。でも義理実家は違うということなんだなぁと、本文中の発言に思ったわけです。

金勘定と思い出と。どちらを重きと取るか、判断できる状態なら親本人に考えてもらうのが無難そう。そして私の実家親はドライなので、処分を選ぶような気がします(苦笑)
そんな親に育てられた私もドライだし、たぶんその私に育てられた子どもたちもまた・・・(^_^;?!

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